Experience Management 部門  日本電信電話株式会社 執行役員 総務部門長 山本 恭子氏(右)  クアルトリクス合同会社 カントリーマネージャー  熊代 悟(左)
Experience Management 部門
日本電信電話株式会社 執行役員 総務部門長 山本 恭子氏(右)
クアルトリクス合同会社 カントリーマネージャー 熊代 悟(左)

 
NTTグループは900社以上、従業員数約33万人を擁し、世界中にICTサービスを提供するグローバル企業です。同グループではめざす企業像の中心に「People(人材)」を据え、「従業員の成長」と「事業の成長」の好循環の実現を図っています(下図参照)。この好循環を生み出すファクターのひとつがエンゲージメントです。同グループでは SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse を活用して、グループ会社約110社、従業員約18万人に対してエンゲージメント調査を実施。SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse をグループ全体のエンゲージメント調査基盤に据え、データドリブンな人事の実現をめざしています。


データドリブンな人事へ変革し、エンゲージメントを向上させる

2021年9月、NTTグループは「新たな経営スタイルへの変革」を発表し、さまざまな変革を推進しています。同社の変革の方向性とはどのようなものなのでしょうか。NTT執行役員総務部門長の山本恭子氏はこう話します。
「社会・経済がwith/afterコロナへ向かうなか、分散型ネットワーク社会に対応した新たな経営スタイルへ変革することに加えて、Well-being社会の実現に向けたESGの取り組みによる企業価値の向上を図ることで、サステナブルな社会の実現をめざしています」

同グループがめざす企業像の中心にあるのは「People(人材)」です。人事においては、めざす企業像に基づき「事業の成長を支えるプロフェッショナル人材の確保・育成」「多様性の確保」「リモートワークを基本とする働き方」という3本柱のもと多様な施策を行っています。この3本柱がそれぞれ有機的に機能することで、従業員のエンゲージメントの向上とワークインライフ(健康経営)の推進につなげ、サステナブルな社会の実現に貢献するというわけです。 多様な施策が有効に機能し、変革が進んでいるか確認するためには、エンゲージメントをグループ全体で統一した視点のもと、定点観測する必要があります。また、定点観測で得られたエンゲージメント調査のデータの分析・検証を行ったうえで、改善のアクションへつなげていくことが求められます。つまり、エンゲージメント調査のPDCAサイクルを円滑に回すための仕組みが必要です。

「エンゲージメント調査以前のES調査は、各社独自のプラットフォームで実施していました。統一の設問を入れていたものの、共通化したサーベイになっておらず、グループ全体の状態を把握できずにいたのです。また、データ活用が進んでいる会社がある一方でそうでない会社もあり、取り組みは一様ではなく、データ収集、分析、活用の取り組みが各社バラバラだったのです。この状態ではグループで共通のデータを活用し、継続的にエンゲージメントを高めるアクションをとることができません。今後、変革を促進するためにデータドリブンな人事に変わっていく必要がありました」(山本氏)

NTTがめざす企業像
NTTがめざす企業像

 

PDCAサイクルの円滑化や海外展開、ベンチマーク比較などを考慮して SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse を選定

システム選定は4つのポイントを重視して行いました。一つ目は「PDCAサイクルを円滑に回せる」ことです。エンゲージメント調査において多くの担当者を悩ませるのが設問設定やデータ分析ですが、SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse にはベストプラクティスに基づいた設問提案やデータ分析支援などの機能が備わっており、PDCAサイクルを回すための仕組みが十分に備わっていたといいます。二つ目が「グローバル展開が可能」なことです。同グループは世界中でICTサービスを提供しており、将来的にグローバルでのエンゲージメント調査を実施する必要がありました。三つ目は「ベンチマーク比較ができる」ことです。SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse にはさまざまなベンチマーク指標があり、それを用いて客観的に自社のエンゲージメントを捉えることができます。四つ目は「SAP SuccessFactors連携に対する期待」です。SAP SuccessFactorsはヒューマンキャピタルマネジメントシステムで人材情報の一元管理を行うためのもの。人材情報とエンゲージメント情報を紐づけて、適所適材の実現、能力開発なども含めた人材管理に役立てることも、将来的に期待しているといいます。総務部門 人事・人事制度担当 ダイバーシティ推進室 担当課長 田邉 直記氏が話します。
「エンゲージメントの良し悪しの計測は自社だけでは不十分です。日本はもちろん、世界と比較して自社の位置を確認しながらPDCAサイクルを回していく必要があります。SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse は世界中で使われているため、ベンチマーク比較が可能でグローバルエンゲージメント調査の共通基盤として最適です」
総務部門 人事・人材開発担当 担当課長の高田 修一氏はこう付け加えます。
「SAP SuccessFactorsと連携させることで、エンゲージメント調査以外の調査基盤としてSAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse を活用できると思っています。これまで多くのシステムを検討してきましたが、SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse は高いレベルで当グループの要求を満たしてくれることが、導入の決め手となりました」

グループ会社約110社、従業員約18万人という大規模エンゲージメント調査を実施

SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse 導入プロジェクトは人事部門(ダイバーシティ推進室、人材開発、制度、運用)とIT部門の連携のもと進められました。2021年7月にキックオフ、トライアル期間を経て、同年9月から導入を開始しました。今回のプロジェクトでは、グループ会社約110社、従業員約18万人のエンゲージメント調査の実施をめざしました。SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse 導入のプロセスにおける最大の壁は「グループ会社の納得感を得る」ことにありました。
「すでにエンゲージメントについて取り組んでいるグループ会社が数多くあったのです。そうした会社では自分たちのスタイルがすでにできていました。頑張っている会社も多く、反応は大きかったです。彼らからこれまでの取り組みについて説明を受け、心が動かされたことが何度もありました。今回のプロジェクトの思想について時間をかけて丁寧に説明することで、理解してもらいました」(田邉氏)
同グループの場合、小規模な会社でも従業員は2万人を超えています。各社が独自で積み上げてきたものに配慮しつつ、グループ共通のエンゲージメント調査基盤を導入することには大きな苦労があったのです。
「事務局としてグループ各社において中心となる人が納得してくれないと、実行性を確保できないと思っています。調査はできても、その後のデータ活用、施策実施につながらないでしょう。各社がオーナーシップをもって、PDCAサイクルを回せるようにするためには、納得感が絶対に必要なのです」(田邉氏)

エンゲージメントに影響を及ぼしているファクターを特定し、施策立案、実行へ

同グループでは初回のエンゲージメント調査を終えたところです。どのような結果が出たのでしょうか。
「数年来行ってきたワークスタイル変革の成果もあり、働き方については肯定的だった一方、働きがい(仕事の達成感などの動機付け要因)については多くの課題を残しました。SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse を活用することで、エンゲージメントに影響を及ぼすファクターが見えてきており、階層別や属性の分析に基づく課題の深堀りやアクションを検討できる環境が整いました」(山本氏) 続いて田邉氏はこう話します。
「エンゲージメント調査結果は、外部と比較して良し悪しをつかむことも重要です。今回の調査ではベンチマーク比較を行うことで、国内外において当グループがどのポジションにいるのか知ることができたほか、強みと弱みを可視化できました。また、同じものさしで従業員も経営層も語り合えるようになったことも大きいですね」(田邉氏)
現在、同グループでは第二回目のエンゲージメント調査を準備しています。SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse にデータが蓄積されていけば、統計的因果推論などを用いた経年比較が可能となり、さまざまなインサイトを得られることでしょう。今後は調査結果を受け、どのような施策を立案し、実行していくのかが問われてきます。クアルトリクス社は SAP Qualtrics Employee Engagement, add-on for Employee Pulse  を通して、同グループの変革を支え続けていきます。

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