DX(デジタル変革)に取り組んでいるお客様を表彰する「SAP Japan Customer Award」。 3回目を迎えるにあたり、SAPジャパン代表取締役社長の鈴木洋史と、常務執行役員でエグゼクティブカスタマーオフィサーである佐野太郎に、改めてその設立の狙いやSAPが目指す方向についてお話を伺いました。
―― 「SAP Japan Customer Award」設立の経緯と狙いについて教えてください。
鈴木 2020年4月、私がSAPジャパンの社長に就任した際に目標として掲げたことが、「お客様の成功になくてはならない存在になる」でした。それでは、具体的な「成功」とは何か。そのロールモデルとして、私どものソリューションを利活用し成果を上げているお客様を表彰する制度を立ち上げました。それが「SAP Japan Customer Award」です。第3回目となる今回は昨年同様8部門で革新的な取り組みを行っている企業・団体を表彰させていただいています。
佐野 「SAP Japan Customer Award」を運営する上で重要視しているのが、近江商人で有名な「三方良し」であること。三方は、お客様企業、私どもSAP、そして社会全体の三方です。まず、お客様企業のメリットについては、お客様からさまざまなフィードバックをいただいていますが、「自社内でのプレゼンスが向上した」という声が多く聞かれます。本アワードの発表やメディア報道をきっかけに、「うちの会社はこんな取り組みをしていたのか」と社内での認知が拡がり、革新的な取り組みとその成功を内外に知らしめる絶好の機会になると信じています。
―― SAP社内にとってのメリットはいかがでしょうか。
佐野 私たち自身の意識改革です。SAPのソリューションやサービスを利用するお客様が目指す成果へのコミットメントをこれまで以上に高めて、一緒に走り続けるという“マインドチェンジ”を多くの社員にもたらすことが私の大きな願いです。 本アワードは、すべての社員が「自分が何をすれば、お客様により良い体験や実際の成果をもたらすことができるのか?」を常に意識できるようになることへの第一歩であると考えています。
―― では社会全体にとってのメリットについては、いかがでしょうか。
佐野 日本の社会課題の解決に積極的に貢献することが、SAPが生み出すソリューションの役割のひとつです。特に2022年は外的環境の変化による課題に対して様々な取り組みを行い、具体的な成果を創出したお客様が受賞する傾向が強かったと思います。例えば、日本財団様はウクライナ避難民支援プラットフォームで軍事侵攻により日本に避難するウクライナ国民をサポートしていますし、旭化成様は地球温暖化抑制の一助となるCFP排出量算出システムとしてSAPのソリューションを利活用いただいています。そのほか、バリューチェーンの見える化、働き方改革支援など、自社だけでなく社会全体の問題を解決しようとする企業・団体の取り組みが目立ちました。
―― そのほかに選考において大事にしたポイントを教えてください。
佐野 選考の基準としては、「最終的なお客様の成果の創出」を重視しています。私たちの経営指標としても、従来はソリューションを採用、導入していただくこと自体に重きを置いていましたが、SAP製品はあくまでツールであり、真に称えるべきはお客様自身の成功へ向けた熱意と成果です。そのため、「本当に価値ある成果を出せた」点を大きな評価ポイントとしました。
―― 受賞企業・団体に対して期待することおよびSAPが目指す役割を教えてください。
鈴木 今後も自社だけでなく業界や社会全体を変革し続け、日本企業のロールモデルになっていただきたいと願っています。私たちSAPも継続的に支援し続け、日本社会に貢献していきたいと思っております。そのようななかで私たちがやるべきことは、パブリッククラウドとも言われるような、標準化可能なソリューションを提供することです。従来は日本企業を中心として、業務にシステムを合わせるシステム開発を行ってきました。それによりアドオン開発によって費用や期間が嵩み、アップデートに膨大な手数がかかっていました。その結果、グローバル標準に置いて行かれているのが現状です。しかし今後は、SAPのソリューションをクラウドへと移行し、かつ「Fit to Standard」で運用できるシステムを提供することによって、お客様のさらなる生産性の向上を目指していきます。その中でさらなるイノベーションも生まれてくるはずです。本アワードを通じて成功事例を増やし、単純なソリューションのプロバイダーではなく、事業変革の推進アドバイザーとしての機能をSAPが担い、社会課題解決に注力できればと考えています。
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