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SAPグループ全体の最新ソリューションを紹介するSAP Sapphireが、2023年5月16日~17日の日程でアメリカ合衆国のOrlandoで開催され、盛況を博しました。

人事領域のセッションでは、人事業務の高度化と効率化についてAI関連ソリューションの紹介や事例発表が行われました。
こちらのブログでは、人事領域の発表内容を3つのポイントでサマリーしてまいります。

生成AIを活用したリスキリングや採用業務の効率化

SAP SuccessFactorsとMicrosoft 365 Copilot、Microsoft Teams、およびCopilot in Viva Learningが統合され、人材要件の設定やリスキリングやアップスキリングにつながる育成、採用業務を効率化できるようになります。
たとえば中途採用の募集要項の作成シーンを考えてみましょう。企業が求める即戦力人材を採用するには、必要なスキルを正確に表現し、かつ魅力的な募集要項が第一歩となりますが、これは時間を要するタスクであり、経験や知識が求められます。まして、新事業立ち上げの人材を採用するようなケースでは自社の採用担当には十分な知識や経験がないこともしばしばあります。こういった課題を解決する手段として、Microsoft 365 Copilot連携によって、生成AIが外部・内部の大量の情報を参考に、より精緻かつ魅力的な募集要項案を生成してくれます。その際、バイアスのある表現はAIにより排除されるため、DEIに配慮した採用プロセスが担保されます。

 
他にも、Microsoft Teamsのチャットから生成AIに募集要項に即した採用面接の質問項目を生成させたり、面接終了時にMicrosoft Teamsのチャットに返信するだけで評価を完了したり、日常の業務を行うツールから離れることなく採用プロセスを進めることができる機能が紹介されました。
また人材育成の側面では、従業員がViva LearningのCopilotに自然言語で問いかけることで、将来のキャリア希望に一致する学習コースの提案を受けることができ、学習を完了するとSAP SuccessFactors上のスキル情報が自動更新される連携シナリオも紹介されました。

新時代のタレントマネジメントの中核となるTalent Intelligence Hub

前述のようなAIとの連携シナリオをより高度化し柔軟にするにはタレントマネジメント基盤にも進化が求められます。イベントでは、これからのSAP SuccessFactorsのタレントマネジメント機能の中核となるタレント・インテリジェンス・ハブ(Talent Intelligence Hub)についても発表されました。
タレント・インテリジェンス・ハブとは、成長ポートフォリオ(Growth Portfolio)、属性ライブラリ(Attribute Library)、スキルオントロジー(Skills Ontology)の3つの基盤と関連する機能群の総称です。
成長ポートフォリオは、従業員のスキルやコンピテンシーに加えて、成長意欲や将来のキャリア希望などあらゆる属性を管理することにより、AIがより個人の思いに沿った育成機会の提案をできるようにします。

 
属性ライブラリは、個社のニーズに沿ってあらゆる属性を自由に定義できるだけではなく、スキルオントロジーを通して、外部のスキルカタログの情報に基づいて、常に自社のスキルカタログを自動的に最新状態に保つことができ、スキルカタログの陳腐化を防ぎます。
さらに、スキルオントロジーは、SuccessFactorsで従業員が経験したプロジェクトなどの情報やMicrosoft Teamsで参加しているチャネルなどの情報から従業員が保有している可能性のあるスキルをプッシュ型で通知・確認することで、常に従業員のスキルの状態を最新のものに保つことができます。
タレント・インテリジェンス・ハブはこれらの機能を通じて、これまで形骸化しがちであった全社レベルでのスキル管理を現実のものとします。
さらに、スキルベースでの社内人材活用とリスキリングを促進するための機能であるダイナミックチーム(Dynamic Teams)とオポチュニティ・マーケットプレイス(Opportunity Marketplace)と連携し、スキルベースでのプロジェクト組成、人材登用を通じて、個々の従業員の継続的なリスキリングを支援し、事業環境変化への組織としての柔軟な対応を可能にします。(こちらのブログでダイナミックチームの詳細を公開中)

マイクロソフトがSAP SuccessFactorsでグローバル人事基盤を構築

また、マイクロソフト社がグローバルでSAP SuccessFactorsを稼働したことも発表されました。

出展:Microsoft 社:一貫性のある標準化された従業員エクスペリエンスを世界規模で実現 (sap.com)

 
マイクロソフトは108か国にまたがる人事管理システム基盤としてSAP SuccessFactorsを稼働ました。Microsoft 社、人事テクノロジー担当シニアディレクター ラジャンマ・クリシュナムルティ (Rajamma Krishnamurthy) 氏は、複数のグローバル人事パッケージの中から、SAP SuccessFactorsを選択した大きな理由は、事前設定済みのローカリゼーションと拡張性で、実際にローカリゼーションの心配なく、100ヵ国以上ですぐに使用できる状態で導入できたと言います。
SAP SuccessFactorsを導入したことで得られた主なメリットの一つは、信頼性が高く正確なデータを一元的にリアルタイムで利用できるようになったことです。ダイバーシティとインクルージョンのデータを照合することで、同社は社内で構築されているコミュニティを把握し、求めている人材を獲得し、適切な報酬を支給することができます。この情報は、従業員とリーダーシップチームの後任計画にも役立ちます。

最後に

今回のブログでは、5月に開催されたSAPのグローバルイベントでの人事領域の紹介内容にフォーカスをしてご紹介しました。
日本では、2023年7月11日に人事領域に特化したイベントHR Connectを開催します(※終了しました)。HR Connectでは、デモを交えて人事領域における最新のテクノロジーをご紹介いたします。複数トラック開催で、SAP SuccessFactorsお客様事例、SAPの自社人事改革事例、先進HR Techベンダの機能紹介、人事改革個別相談会など盛りだくさんの内容となっています。
ぜひ奮ってご参加いただき、参考になる情報をお持ち帰り頂ければ幸いです。※終了しました
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。