SAPジャパン Talent Attractionチームによる本企画では、SAPでの仕事内容や印象深いエピソードなどを幅広くお届けします。活躍する社内メンバーの話から、SAPで働く魅力をお伝えできればと考えています。
第19回のインタビュイーは、ECSチームで活躍される、プロジェクトリード(PL)の近藤雅也さん、クライアントデリバリーマネージャー(CDM)の小林隆宏さん、テクニカルサービスマネージャー(TSM)の白根有美奈さんの3名です。
今回は対談形式にて、日々のお仕事の様子についてお話をお聞きします。
第18回の糟谷良太さんの記事ではCDMのお仕事内容についてお伺いしました。CDMが属する、”ECS”とは、どのような組織ですか?
クラウドをより負担なく活用いただくために
白根:ECSは、”Enterprise Cloud Services”の略です。私たちECSは、SAPのエキスパートとして、プライベートクラウドへの移行のためにSAPのサービスをご契約いただいたお客様を支援しています。
オンプレミス(自社サーバーを持つ形式)が主流の時代では、インフラストラクチャーを選定するのもお客様ですし、その土台の上で動くアプリケーションやデータベース、OSの設定や管理もすべてお客様が対応する範疇でした。
ですが、そもそもクラウドではお客様はサーバーを持つ必要がありませんし、ECSを活用すればクラウド上のサービスを活用するために必要なシステム構築から運用まで、一部のアプリケーション運用を除いてすべてをECSメンバーで対応することができます。
例えば今までお客様がシステムをアップグレードする際に準備を含めて1カ月かけていたところが、最新の情報を常に把握している、経験豊富なECSのエキスパートがテクニカルアップグレードを実施することによりお客様の運用面における負担は大幅に軽減されます。
ECSの仕事の流れや、各チームの関わり方を教えてください。
お客様を支えるECSの3つのロールとは
白根:ECSのサービスを契約いただいている日本のお客様に対しては、必ずCDM(クライアントデリバリーマネージャー)、PL(プロジェクトリード)、TSM(テクニカルサービスマネージャー)の3人がセットでアサインされます。
小林さんがマネージャーを務めるのがCDM。私がマネージャーを務めるのがTSM。近藤さんのチームがPLです。
簡潔に言うと、小林さんのCDMは、システム全体のライフサイクルを管理するための総合的な窓口で、技術面以外のシステム運用作業や、契約関連のデリバリーを主に担当します。私たちTSMも稼働中のお客様を対応しますが、もっと技術的な話をします。近藤さんのPLは、主にシステム構築の際に、プロジェクト管理をしています。
近藤(PL):ECSのお客様のライフサイクルには、導入フェーズ、活用フェーズ、拡張フェーズがあり、PLは、全てのフェーズにおける計画的なプロジェクトタスクの総合窓口を務めます。
タスクとして代表的なものは、システム構築です。お客様と契約を締結したあと、まずそのお客様ごとにシステムを稼働させるための環境を作る必要があるんです。その最初のフェーズをPLがメインで担当します。
構築したシステムをお客様に引き渡した後、実際にシステムの導入プロジェクトが始まり、CDMとTSMがお客様とのメインのコンタクト先になります。本番稼働後の活用フェーズ、拡張フェーズも、基本的にはCDMとTSMがメインです。
拡張フェーズではソフトウェアの保守期間に応じてお客様がバージョンアップグレードを計画する必要があります。それは計画的なプロジェクトタスクに当たるので、PLがサポートするタスクの範疇になります。
小林(CDM):CDMは、SAPが提供するクラウドサービスにおける、総合的な窓口としてお客様のファーストコンタクトポイントになります。
お客様がSAPのクラウドサービスを契約後、契約関連はCDMがメインになります。仮に「ECSのサービスを追加契約したい」となれば契約変更について営業と調整し、お客様と予算の話をしながら相談したりします。
白根(TSM):また、CDMが中心となり、お客様とサーバーやハードウェアリソース追加の日程の提案調整も行います。
小林(CDM):私たちECS自体は、サービスを提供している立場なので、SAP製品そのものの問題に関しては何もできない難しさがあります。でも、営業やプリセールス、ときにはカスタマーサクセスチームなど、SAP内部でのネットワークを広げて、色んな人を巻き込んで仲良くなりながらうまく仕事を進めていくところが、非常にやりがいのあるところ。コミュニティの幅を効かせられるのがCDMの面白いところかなと私は思いますね。
白根(TSM):CDMでは技術的な細かい話はわからないので、お客様に技術的な面からご説明をするのがTSMの役割です。
運用フェーズに至った後は、契約変更などはそこまで頻繁には発生しないので、お客様との間ではTSMの役割が大きいですかね。「この作業の見積はいくら?」という話はCDMのタスクですが、実作業においてはTSMがメインでお客様対応をしていくイメージです。
ECSで働くことの魅力を教えてください。
圧倒的な「グローバル」を感じられる組織
近藤(PL): ECSの魅力は、まずグローバル組織であることだと思います。我々は日本のお客様の窓口ですが、実際にサービスを提供をしているのはグローバルのチームなので、世界中のメンバーと一緒に仕事をするところは魅力だと思います。
白根(TSM):お客様のフロントには私たち3人がつきますが、お客様から直接みえない運用チームとしては24時間体制でアジア、ヨーロッパ、アメリカの3地域のメンバーが作業をカバーしています。グローバルではパートナー含めて3,000人以上のメンバーがECSのオペレーションを支えているのです。
小林(CDM):私自身、前職は日系企業だったのですが、そのときは、例えグローバルのチームがあったとしても、日本のお客様の対応は、担当窓口だけでなくバックオフィスも日本人で揃えていました。なので、当時は日本語がメインでした。
でも、この組織ではそれが効きません。いまのチームでは7~8割は英語メインで仕事をしています。日本のお客様への対応は当然日本語ですが、それ以外はすべて英語です。英語での交渉も必要だったり、プロジェクトチームとも英語で対応しなければいけなかったり。圧倒的にグローバル感のレベルが違うな、と日々感じているところです。
あと、同じお客様を担当するTSMやPLが、時としてインドなどグローバルのメンバーがアサインされるケースがあります。CDMはファーストコンタクト先として日本語力が必須なのですが、プロジェクトメンバーが日本語を使えなかったりします。なので、CDMとして、日本語と英語を駆使してやりとりしなければいけないところがチャレンジングであり、やりがいでもありますね。
白根(TSM):日本人のTSMやPLなら直接お客様に日本語で説明できるけれども、インドのTSMやPLがつくケースは結構あるんです。そのときはCDMが、内側では英語、表側は日本語で対応するといったこともあります。
SAPの枠を超え、幅広く最新のシステムについて学べる
近藤(PL):PLの仕事の魅力という意味で、クラウドシステム全体のレイヤーについての業務経験を積めるところもあると思います。インフラストラクチャーからアプリケーションのレイヤーまで、データセンター、ネットワーク、サーバー、ストレージ、仮想化、OS、データベース、アプリケーション…。本当に多くのレイヤーをサポートしているので。
各分野において24時間対応の専門のチームがいますが、我々はお客様窓口として対応しているので、全レイヤーに関する質問が我々に来るんですよね。だから各チームとの連携は必須で、実務を通じてこれだけのレイヤーの知識を得られる機会はなかなか無いと思います。
白根(TSM):そうですよね。どれだけ深く知ろうとするのかはもちろん本人の興味次第だけれども、広い分野にわたって知識を得てカバーするスキルをつけることができると思います。
近藤(PL):特に、クラウドなので常に進化していくんですね。提供されるサービスも増えていきますし、常に新しい技術に対応していかなければいけない。それも大変かもしれないですが、面白いところでもあると思いますね。
信頼し合い、助け合うECSチーム
白根(TSM):TSMも技術的なスキルは必要ですが、PLは常にシステム構築に関連する新しい技術を知っているんですよね。特に日本にいるPLのメンバーは、お客様に直接説明するような場面でも責任感を持ってやってもらえて、よく技術を知っている印象があります。
近藤(PL):幅広いレイヤーに関して新しい知識を得られるのはPL固有の特徴かもしれないですね。システム構築では、まず下のレイヤーのから順番に構築していきます。データセンターの中に、実際にサーバーを作ってストレージを割り当て、仮想環境の設定をして…。ひとつひとつ土台から作っていくんです。特に下のレイヤーに当たるAWS、Azure、Googleなどは、SAPではない会社が提供しているサービスであって。ここのサービスも、どんどんアップデートされて新しくなっていくので、常に知っておかなければいけないんです。
白根(TSM):お客様が運用フェーズで「AWSのネットワーク接続のオプション設定を変えてほしい」と言われても、私たちTSMは細かい設定までピンとこないときがあります。そういうときにはシステム構築を担当したPLに頼って聞くことがあります。だからPLはその分さらに深い知識を持っていて勉強しがいのあるポジションだと思います。
近藤(PL):CDMについては、お客様のファーストコンタクトポイントなので、お客様の期待値を管理するのはCDMの役割です。そういう観点で相談をさせてもらうことが多いですね。例えばお客様への報告の際にはCDMと連携して相談させてもらいます。
小林(CDM):システム構築関連の技術面で難しいところは近藤さんにお願いする、というところはあります。
ですが、期待値を管理するという意味では、CDMが先頭に立って、お客様のCXOレベルに対しても臆さずに対峙しながら説明責任を果たしていくマインドが大切です。ときにはお客様に「NO」と言いたいところでも、ダイレクトにNOとは言わず、どのようにうまく伝えるのかを考えるのが腕の見せどころです。
SAPのクラウドサービスの「顔」として、SAPがお客様にとって良きビジネスパートナーであり続けるために、CDMは重要な役割を背負っていると思いますね。
白根(TSM):本当にこの3人は、お互いがいないと回らないんですよね。みんなで補い合っているイメージです。
ECS、各ポジションに向いている人はどんな人ですか?
責任をやりがいに変えながら、グローバルで活躍したい人に最適
近藤(PL):ECSという意味では、まずグローバルな組織で働きたい意思があるということ。あとは、お客様とダイレクトにコミュニケーションをする立場なので、お客様と距離が近いところで仕事をしたい人が向いていると思います。お客様のミッションクリティカルなシステムの構築・運用を支えていることに自負を持てる人が良いですね。
小林(CDM):CDMに特化すると、忍耐力が必要かなと思います。お客様の持つ高い期待値を基に寄せられるメッセージを、なんとか受けて耐えなければいけないし、冷静に対処する方法を考えなければいけない。
難しい問題が発生して説明を求められたり、宿題をもらったり厳しい局面に会うときも時としてあります。そんな場合も、しかるべきチームと連携を取りながら、逃げずに向き合っていく忍耐力が本当に必要です。
ただ、1人では何もできないというところがポイントで、色んな人と協力しながら進めていく力が一番重要かなと思います。
CDMとしては、これまでクラウド活用に取り組むさまざまなお客様に寄り添ってきているわけですから、その知見やノウハウを活かして、新しいお客様に対しても将来起こり得る問題を先読みし、事前に回避できそうなトラブルは自ら進んで先にフォローしておくような力が必要です。
そのために自分以外に必要なメンバーがいるとしたら、自分から積極的に協力を仰ぐことが大切なんです。
人を巻き込むことができないと、自分一人への負荷が大きくなってしまいます。逆に、それができる人は困難なことがあっても、「よかった。ここ、乗り越えたね!」と、前向きなモチベーションに変えながら次のチャレンジにつなげられますね。
白根(TSM):TSMは、責任感を持って「お客様の大事なシステムを取り扱っているのだ」と考えられる人が合っていると思います。あとは、お客様とのコミュニケーションを怖がらずにできる人ですね。
そして、TSMは技術的なポジションではあるものの、グローバルにいるオペレーターたちにとってはマネージャーなんです。だから、きちんと彼らがうまく作業できるように考え、マネジメントしてあげる力が必要です。
近藤(PL):PLは、プロジェクト管理が役割です。それも、グローバルのリソースを活用してプロジェクトを進められる力が必要です。
あとは、日々進化するクラウドの新しい技術に興味のある人が向いてると思いますね。大変だと思う人もいるかもしれませんが、興味がある人であれば、新しいことを常に学ぶ機会が提供されていることは魅力になると思います。
最後に、ECSで働くことに興味のある人へ、メッセージをお願いします。
日本の現場から世界へ。ともに成長できる仲間を増やしたい
白根(TSM):私たちECSの意見って、SAP内部のグローバルとしてもとても大事に扱われるんですよ。日本はAPJリージョンで1番大きなマーケットだし、日本のお客様からリクエストされるレベルをクリアすればグローバルでどこでも受け入れられます。
だからそういう観点でフィードバックをしながら、「ECSのサービス自体をもっと良くしていこう!」という気持ちがあることが大事なんです。
私たちは日々現場で対応しているけれども、決して末端にいるだけではない。グローバルにおいても、とても重要な部署にいるんです。CDM、TSM、PLの発言を聞いて、グローバルのSAP内部の人たちが「私たちも取り組もう!」という動きをしてくれる。
だから、現場でバリバリ働くことに加えて、自分たちは大きな責任を持っているんだということを自覚できる人に来てもらいたいですね。
近藤(PL):もともとこのECSのサービスって、SAP製品の運用におけるベストプラクティスがベースになっているんです。なので、ECSでの仕事を通じてSAP自体が、製品ベンダーとして持っている運用のベストプラクティスを、お客様に提供しながら体系的に学ぶことができます。
多くのお客様がSAP運用における課題を抱えていると思うのですが、ECSでの仕事を通じて様々なお客様の課題を把握し、それをグローバルの組織の中でどのように改善しているかを体感できる。こういう組織はあまり無いのではないかなと思います。
小林(CDM):私自身は2021年にこの組織に入ったのですが、ずっとメンバーは増え続けています。まさに右肩上がりの部署なんですよ。こういう成長している組織にいることで、仕事の幅は広がっていきますし、すごく前向きな仕事の環境だと思いますね。
SAP自体、全社としてクラウドサービスを盛り上げ、クラウドカンパニーにシフトしています。だから、私たちECSのチームは、SAPという会社の中で「主役」なんです。なので、主役の立場として、力を発揮できる良いチャンスだと思っています。たとえ難しい局面が発生しても、一緒に乗り越えて成長できる仲間を募集しています。
ECSの皆様が、いかに仕事に誇りを持っているのかが伝わってきました。これからもECSチームとして拡大しながら、クラウド時代を進化させるため第一線で大活躍されることを期待しています。
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