SAP Japan プレスルーム

未来を生きる:クラウド ERP ソリューションへの戦略的シフト

(本記事は、10月30日に本社で掲載されたものです)

古いスニーカーで走るマラソンを想像してみてください。今までよくがんばってくれたスニーカーとは言え、新しい地形に対応するには、新しいスニーカーが必要です。これは、SAP® Business Suite 7 の一番新しい 3 つのエンハンスメントパッケージのメイン・ストリーム・メンテナンスが 2027 年末に終了し、オプションの延長保守サービスが 2030 年に終了することを受けて、多くの企業が直面している状況です。業務を中断することなく、効率性、競争力、安全性を維持するために、今こそ行動を起こす時です。

古いスニーカーを脱ぎ、AI 対応クラウド ERP への移行をサポートする革新的な RISE with SAP で、新しいスニーカーを履いてみませんか?このオファリングは、SAP Business Suite 7 からの移行を検討している企業に幅広く対応する道筋を示し、現在そして今後数十年にわたるビジネス上の課題解決を支援します。

ひとつの時代の終焉:SAP Business Suite 7 SAP ECC のメイン・ストリーム・メンテナンス

長年にわたり SAP Business Suite 7 と SAP® ERP Central Component (SAP® ECC) は、多くの企業の基幹システムとしての役割を担い、プロセス効率を向上させてきました。しかし、市場環境やビジネスニーズの変化に伴い、ERP も進化する必要に迫られています。レガシーシステムを使い続けることは、20 年前の紙の地図で現代の都市を見て回るようなものです。これは、SAPだけでなく、テクノロジーパートナー各社も変革をし続けているからです。

したがって、SAP Business Suite 7 ソフトウェアのコアアプリケーションの直近 3 つのエンハンスメントパッケージのメンテナンスを 2027 年及び2030 年に終了するという SAP の発表は、次世代の最新ソリューションへの移行が必要であるというお客様へのお知らせでもあります。また、SAP はSAP S/4HANA® のサポートを 2040 年まで継続する発表しています。これは単に必要な調整期間ではなく、紙の地図とコンパスから、時代の先端へと導く GPS 付きデジタル地図である SAP S/4HANA® Cloud への移行の絶好の機会でもあります。

SAP Business Suite 7 の 2027 年2030 年の保守サービス終了を単なる SAP 側の決定事項と捉えるのではなく、お客様の事業が直面しているさまざまな難題への取り組みを進め、将来の市場機会を逃さないための戦略的チャンスだと捉えていただければ幸いです。

RISE with SAP:未来への道しるべ

SAP では、お客様の現状に寄り添った戦略を展開できるように、お客様との対話の際には、企業の IT ランドスケープをどう変革すればよいかだけでなく、ERP でお客様のビジネスをどのようにサポートできるのか、変革の必要性と現状のギャップをどのように埋めるのかも洗い出す必要があると考えています。そこで登場するのが RISE with SAP です。

RISE with SAP は、新しいスニーカーを勧めるだけでなく、総合的なトレーニングプログラムも提案してくれるパーソナルコーチのようなもので、プロセス単位でビジネスを変革できるように設計されています。SAP が綿密に管理・最適化する AI 対応のクラウド ERP への移行において、SAP が構築したサービスやツールを活用することで、お客様はオンプレミスシステムからクラウドへとスムーズに移行し、現在の状況と将来の展望を把握できるプロセス診断を行うことができます。

RISE with SAP が放つ推進力

RISE with SAP は、登場以来、多くの企業に採用され、顧客ニーズに応えるべく継続的に進化を続けています。イノベーションの最前線に立ち、業務効率とイノベーションを推進する AI の役割を強化するため、最近 SAP Joule 付き AI 機能を RISE with SAP に組み込みました

デジタル・トランスフォーメーション・ジャーニーを続ける企業を支援するという継続的な取り組みの一環として、SAP は RISE with SAP Methodology という構造化されたアプローチを提供しています。このアプローチは、RISE with SAP でお客様の DX ジャーニーをナビゲートすることを目的としています。この方法論、SAP の広範な専門知識とツールを活用し、詳細かつ戦略的な計画、実行、重要なリソース管理、継続的なサポートフェーズで構成されます。お客様がこれまでに実施した既存の投資を最大限に活用しながら、リスクの軽減、ダウンタイムの削減、迅速な価値実現を支援することで、効率的かつ効果的な移行プロセスを推進します。また、お客様の予算や IT 部門の運用マインドセットを考慮し、移行に伴うコスト負担を軽減するための魅力的な金。銭的インセンティブも提供しています。

自信を持って変革を推進

RISE with SAP Methodology には、SAP Business Suite から SAP S/4HANA Cloud に移行するためのベストプラクティスと体系的アプローチが含まれています。つまり、詳細なロードマップと随時対応するピットクルーが備わっているようなものです。ここには、既存のカスタマイズを考慮しながら、コンプライアンスを確実に遵守し、clean core アプローチを進める詳細なサクセスプランと品質チェックポイントが含まれます。clean core とは、必要なデータと構成のみを新しいシステムに移行し、複雑性を低減してスムーズな移行を実現するアプローチです。

 導入事例:Mahindra グループ DX

移行の成功例として、Mahindra グループの事例をご紹介します。Mahindra は、RISE with SAP を活用することで、ERP ランドスケープの近代化という DX ジャーニーに乗り出しました。SAP アドバイザーによる献身的なサポートと体系化された方法論により、Mahindra は SAP S/4HANA へのシームレスな移行を実現し、開発者の効率性を 35% 向上させながら業務を最適化することができました。

将来を見据えた基盤は、Mahindra の事業成長の支援の一助となっています。例えば、新型 SUV の発売時にデジタルチャネルを通じて 30 分間で 10 万件の予約があった際にも、高性能な IT インフラ上で稼働するさまざまなソリューションにより、販売取引はスムーズに行われました。さらに、物流とサプライチェーン管理のプロセスを最適化した結果、バックオーダー処理時間が 20% 短縮されました。Mahindra Group の最高情報責任者であるルチャ・ナナヴァティ (Rucha Nanavati) 氏は次のように語っています。「RISE with SAP と SAP® Business Technology Platform は、テクノロジーを最大限に活かし、ビジネスの成長を可能にしながら、より迅速な市場展開と機敏なオペレーションを実現することで、当社の未来への対応力を高めるのに役立っています」

 実績ある方法論で成功を確実に

RISE with SAP オファリングは、可能性のあるあらゆる顧客シナリオに対応でき、カスタマイズされたインセンティブと実績ある方法論でこれを後押しします。このカスタマイズされたインセンティブとは、複雑な移行に対する追加サポートなど、移行プロセスをより費用対効果の高いものにし、ビジネスへの影響を最小限に抑えることを目的とします。体系的アプローチと SAP アドバイザーによる専任サポートを組み合わせることで、企業が DX にしっかり備えられるよう支援します。

例えば、SAP が RISE with SAP により Fresenius 社の複雑な業務改革を支援した際には、SAP システム管理に費やす時間を 50% 削減し、IT フットプリントを 20% 削減することに成功しました。さらに SAP パートナー企業とともに、15 カ月という短期間で、大幅な業務中断を起こすことなく 130 のシステムをクラウドへ迅速に移行し、システム応答時間を 20% 改善し、全体的なパフォーマンスを向上させることができました。

SAP のツールや、clean core サクセスプランといった方法論への継続的投資は、コンプライアンスとベストプラクティスの重要性を示すものと言えます。明確で信頼性の高い移行経路を示すことで、お客様が自信を持って移行を進められるようにし、SAP はお客様の成功に貢献します。クラウド ERP 環境に移行することで、高い拡張性、柔軟性、リアルタイムのデータアクセス、AI や機械学習などの先進技術の利用など、数多くのメリットを手に入れることができます。また、SAP ECC から柔軟なクラウドベースの ERP への移行は、ビジネスニーズに合わせてスピーディな拡張が可能なアズ・ア・サービス型で行うことができます。

 今後の展望:戦えるランドスケープを作る

柔軟な移行スケジュールでオンプレミスのお客様をサポートするという SAP 独自のアプローチは他社にはないものです。SAP は豊富な経験、能力、明確な意思決定によって、お客様のビジネスビジョンを支援します。顧客基盤に対する SAP のコミットメントとして、SAP は、あらゆるお客様にとってスムーズで段階的、現実的、最適な移行のために尽力します。

2027 年及び 2030 年に予定されている SAP Business Suite 7 のメイン・ストリーム・メンテナンスの終了に備え、RISE with SAP を活用して SAP S/4HANA とクラウドへの移行を実現すれば、包括的かつ信頼できる方法で、未来に通ずるオペレーションを手に入れることができます。SAP は、お客様が自信を持ってビジネス変革を進め、競合他社に負けないビジネスランドスケープへと進化させていくお手伝をしてまいります。

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ヤン・ギルグ (Jan Gilg) は SAP のクラウド ERP 担当プレジデント兼 CPO です。
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