(本記事は、5月21日に本社で掲載されたものです)

次なるビジネスの時代は、企業がインテリジェンスをいかに実業務に効率的に取り込めるかにかかっています。

私たちは今、AI モデルにリアルタイムデータと重要なオペレーショナルコンテキストを組み込んで、迅速かつ洞察に富んだ意思決定を可能にし、組織運営に変革をもたらすインテリジェントアプリケーションの新しい波を、日々感じています。こうした最新のアプリケーションは、従来のように厳格なビジネスルールに縛られていたソフトウェアとは異なり、急速に変化する顧客と市場のニーズを学習し、柔軟に適応します。さらに、プロセスを最適化やニーズを予測に加え、人間とAI「思考者」が協働することで、変化を先取りし、組織に競争優位性をもたらす力を備えています。

しかし今、私たちはさらに大胆なイノベーションの最前線に立っています。そして、こうしたイノベーションの真価を最大限に引き出せるのは、残念ながらごく一部の先見性ある組織に限られるかもしれません。AIとクラウド技術がもたらす可能性は非常に大きいものの、その真のインパクトを実現できるかどうかは、組織内に豊富に存在する、安全かつセマンティックリッチなデータと組み合わせて、これらのイノベーションをどう活用するかにかかっています。  

インテリジェントアプリケーションが生み出す成果の変革

今年の SAP® Sapphire®において、SAP は、インテリジェントアプリケーションの新たな可能性を切り拓く SAP® Business Data Cloud の重要な拡張について発表しました。信頼性の高いデータ製品、AI 機能、ビジネスシミュレーションをシームレスに統合し、あらゆるビジネスリーダーのニーズにえる、あらかじめ構築されたコンポーザブルなアプリケーションを提供します。

これらのインテリジェントアプリケーションは、単なる分析ツールではありません。分析とトランザクションの両ワークフローを横断しながら業務の自動化と最適化を実現し、従来のアナリティクスの枠を超えて、SAP Business Data Cloud 上で意思決定とアクションの実行を可能にします。

ここでは、SAP Business Data Cloud に新たに追加されたインテリジェントアプリケーション機能についてご紹介します。まず、ワークフォース構成、スキル、報酬に関するデータ製品を基盤とした「ピープルインテリジェンス」です。SAP SuccessFactors® ソフトフェアのデータに基づき構築されたこの機能は、人事部門や業務部門のリーダーに対し、人材管理の最適化、エンゲージメントの向上、コンプライアンスの強化を支援する、AI 主導型のレコメンデーションを提供します。この機能には、ワークフォース構成、報酬、スキルに関するインサイトが含まれており、2025 年後半の提供開始が予定されています。

現在テクノロジープレビュー中で、今後 SAP Business Data Cloud に追加予定のインテリジェントアプリケーション機能は、以下のとおりです。

  • クラウド ERP インテリジェンス:変革をもたらすインサイト、ビジネスシミュレーション、および AI 機能によって、不確実性を管理、収益性の向上、サステナビリティ目標の達成を支援します。これらの機能には、製造(生産実行、リソース最適化など)、サプライチェーン管理(在庫管理、出荷/納入など)、契約会計(支払、請求など)といった主要ビジネスプロセスに基づく新たなデータ製品が含まれます。
  • 顧客インテリジェンス:360 度顧客ビューを活用し、営業、サービス、マーケティング、コマースといった部門が顧客ニーズを予測し、ターゲティングを最適化し、包括的な顧客プロファイルを構築できるよう支援します。
  • 財務インテリジェンス:CFO および財務部門メンバーにリアルタイムの予測・計画機能、システム横断のデータ連携、および AI ベースの異常検知機能を提供します。
  • 支出インテリジェンス:調達部門とオペレーション部門のリーダーにリアルタイムの支出可視化機能を提供し、サプライヤーリスクを最小限に抑え、支出異常値の検出、コスト削減を実現します。

SAP Business Data Cloud 内の各インテリジェントアプリケーションは、厳選・管理されたデータ製品によって支えられ、構造化されたビジネスデータとメタデータのセットが、ユースケースを加速させ、データ統合の負荷軽減を削減するように設計されています。さらに、SAP Business Data Cloud にネイティブに統合されたSAP® Databricks を活用することで、ユーザーは既存のレイクハウスと組み合わせて SAP データ製品をゼロコピーで利用できます。

これらのテクノロジープレビューの一環として、SAP は 2025 年中にSAP Business Suite全体の各ドメインにおいて、数百におよぶ新たなデータ製品を提供する予定です。これには、在庫最適化や出荷/納入分析からサステナビリティやコンプライアンスまで、さまざまなデータ製品が含まれます。第一弾では、EHS(環境、健康、安全)および製品コンプライアンス関連の新しいデータセットが提供され、さらにサステナビリティフットプリントデータが今年後半に追加される予定です。

AI の価値を強力なデータでさらに高める

さらに、SAP Business Data Cloudはナレッジグラフ機能も拡張も進めています。もともとSAP® Datasphere上で提供されたナレッジグラフは、現在では、SAPソースと外部ソースの両方からメタデータを取り込み、マッピングすることが可能となり、SAP BTP上で SAP® Knowledge Graphに公開されたモデルをシームレスに活用できるようになっています。これにより、ビジネスデータの構造と連携が反映された「生きたモデル」が構築され、AI がより高い精度で機能するためのセマンティックな基盤が提供されます。

現在一般提供されているSAP Business Data CloudのJouleと組み合わせることで、ユーザーは従来のテクノロジーの制約にとらわれることなく、まるで思考するかのように自然に複雑なビジネスデータと対話できるようになります。Joule は、企業内に存在する情報の豊かさを引き出し、組織全体で人々が、実際のビジネスコンテキストに基づいたインテリジェンスを活用して、状況を把握し、推論し、行動できるよう支援します。

オープンデータエコシステム:SAPを超えたインテリジェンスの拡大

SAP は、SAP Business Data Cloud へのアクセスをさらに高め、次世代のインテリジェントなマルチクラウドアプリケーションを利用できるようにする取り組みを進めています。

SAP Business Data Cloud は第 2 四半期よりAWS 上で利用可能となり、2025 年後半にはGoogle Cloud と Microsoft Azureでも利用可能になる予定です。これにより、SAP のデータ基盤はさらにアクセスしやすくなり、マルチクラウド戦略のもと、柔軟にデプロイできるようになります。お客様は事業展開するあらゆる場所で、インテリジェントなワークロードを自在に実行できるようになります。

同時に、SAP は主要なパートナーと積極的に協業して、次なるインテリジェントアプリケーションの構築に取り組んでいます。

  • Accenture 社は、サプライチェーン、人材、財務、調達における重要な課題に対応する 6つのインテリジェントアプリケーションをリリース予定です。(一般提供時期は未定)
  • Adobe 社と SAP は、Adobe のマーケティングデータと SAP の財務・サプライチェーンデータを統合するアプリケーションを共同開発中です。需要シグナルと業務計画のリアルタイムな連携を実現するこのアプリケーションは、2025 年後半リリースが予定しています。
  • Palantir 社と SAP は、共通のお客様のクラウド移行とモダナイゼーションプログラムを支援するため、パートナーシップを締結しています。Palantir 社と SAP Business Data Cloudのシームレスな連携により、企業全体で調和のとれたデータ基盤を構築できるようになります。SAP Business Data Cloud と Palantir Foundry および Palantir AIP は、データサイロを信頼性の高い単一データ基盤へ変換し、現実世界における人間と AI の協働が可能になります。両社は、重要な成果について責任を持ち、米国政府も含むお客様が変化や混乱に迅速に対応できるよう支援します。
  • Thomson Reuters 社は、現在のグローバル貿易・関税環境下でお客様が直面する急速に変化する課題に対応するため、2025 年末を目標に、インテリジェントアプリケーションの開発を進めています。
  • Collibra 社とSAP Business Data Cloud共通のお客様は、SAP Business Data Cloud データ上で、Collibra Data Quality & Observability により、有効なデータ品質ジョブを最大10倍まで追加費用なしで実行できます。意思決定の迅速化、コンプライアンスの強化、AI 対応力の向上を支援するこの期間限定の特典は、2026 年 5 月 30 日までの利用可能です。

パートナーとの協業は、データエンリッチメントのユースケースにも広がりを見せています。新たに締結されたMoody’s社とのパートナーシップにより、SAP との共通のお客様は SAP の債権データと Moody’s 社のリスクデータセットを統合し、キャッシュフロー予測の精度向上、回収優先順位の決定、不良債権リスクの低減を実現できます。このソリューションは、2025 年第 4 四半期に一般提供開始を予定しています。

SAP は、信頼性の高いデータ、AI、そして、ビジネスコンテキストの融合により、意義ある変革を推進する SAP Business Data Cloud の次世代型インテリジェントアプリケーションの実現に向けて、当社お客様およびエコシステムとの協業を大変嬉しく思っています。ビジネスの未来は今後、インテリジェンスを行動へと変革できる方々によって切り拓かれていくでしょう。 

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イルファン・カーン (Irfan Khan) は、SAP の SAP Data and Analytics 担当プレジデント兼最高製品責任者です。