本記事は「変革時代を切り拓く人事リーダーの航路〜プロジェクト現場の知恵と挑戦〜」と題して、経営戦略に紐づいた人と組織、そして人事自身の役割の変革を加速させるリーダーたちに焦点を当てたインタビューシリーズです。

第 2 弾は、愛知県を代表する自動車内装メーカー、林テレンプ。経営変革の只中で、人事部門もまた大きな挑戦を続けてきました。創業 110 年を超える老舗企業が、経営戦略と人事施策をどのように結びつけ、現場とどのように対話を重ねてきたのか。対話を通じて生まれた変化とは何か。本記事では、経営者と人事プロジェクトリーダーが登壇し、改革の裏側にある葛藤や工夫のリアルを語ります。変革に挑むすべての方に、実践知と気づきをお届けします。

林テレンプ株式会社
取締役 常務役員
経営基盤統括 人事・総務・広報・法務・安全衛生・秘書 担当
森澤 貴紀 氏

林テレンプ株式会社
経営基盤企画室
室長
大江 晋午 氏


会社紹介と事業の特徴

林テレンプは、115 年以上の歴史を持つ自動車部品メーカーです。もともとは織物商社として創業し、現在は世界約 3,700 名の従業員を擁し、グローバル売上高 3,000 億円を超える規模に成長しています。主力は自動車内装部品で、特にフロアカーペットは国内トップシェア。ヨーロッパ企業とのアライアンスにより、世界でも高いシェアを誇ります。また、単なる部品メーカーにとどまらず、内装システムサプライヤーとして車室空間全体のコーディネートやマネジメントも担っています

人事改革の背景と道のり

2020 年、林テレンプは理念体系を刷新し、中期経営計画の中で「人事制度改革」を経営基盤構築の柱に位置付けました。人事部門では「グランドデザイン 2024 」をビジョンとして掲げ、4 年間にわたり段階的な改革を推進してきました

  • 1 年目:ビジョン策定と制度改革準備
  • 3 年目:一般社員・再雇用社員の制度刷新、人材公募制度や課長抜擢任用制度の開始、エンゲージメントサーベイの導入
  • 4 年目:経営・人事・労働組合・従業員間の対話強化、IT 投資拡大による働き方改革の加速

これらの取り組みを通じて、当初描いたグランドデザインの多くを実現することができました。

変革前の課題認識と改革の進め方

改革着手前は「人材育成」「採用強化」などの言葉は一部聞かれるものの、全社一体となった取り組みとは言えない状況でしたまた、人事部門も日常業務に追われていて従業員とのコミュニケーションは不十分であり、結果として求心力も高まってはいない状況でした。
そこで、会社や経営トップ人事部門の信頼関係を再構築するため、全方位での徹底した対話を実施。役員や部長クラス全員との 1 on 1 や、労働組合を巻き込んだ従業員との対話を繰り返し、信頼関係の構築・深化と意識改革を進めました。

サクセッションプランニングと人材育成

2022 年からは幹部後継者育成(サクセッションプランニング)にも本格的に着手。着手当初はアナログ管理が中心でしたが、現在はシステムを活用し、タレントプールの見える化を進めています。多様なキャリア経験を持つ人材が後継者候補として活躍しはじめており、経営と人事部門が一体となって議論を重ねることで、次世代リーダー育成の基盤が整いつつあります

システム導入とプロセス標準化

人事改革の一環として、システム導入も「単なる IT 化」ではなく、業務プロセス標準化・最適化することを重視。従来のやり方に固執せず、業務を世界標準の仕組みに合わせていくことで、無駄なカスタマイズを避け、効率的な運用を実現しています 

今後の課題と展望 

改革の成果を検証し、制度が目的通りに機能しているかを常に見直すこと。また、人材育成や幹部像に関する価値観のすり合わせを深め、会社全体で「人を育てる文化」を根付かせることが、今後の大きなテーマです 

まとめ〜変革をリードするために

林テレンプの人事改革は、経営と現場、従業員一人ひとりの意識改革と対話を重ねることで実現してきました。
「人を活かす」「人を育てる」ことを会社の文化として根付かせるため、これからも挑戦は続きます。

変革には困難がつきものですが、やりがいも大きいもの。
人事部門・経営層・現場リーダーが一体となり、これからも新たな価値創造に向けて歩み続けます。

〜筆者所感〜

森澤様が繰り返し語られていた「経営に資する人事」「人間理解」「社会・ビジネス全体へのアンテナの重要性」というキーワードが非常に印象的でした。AI 時代における人事の役割や価値について議論が深まる中、大江様が強調されていた「対話の重要性」「諦めない粘り強さ」もまた、変革を進める上で人間にしか果たせない価値だと感じました。

 

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