水栓と衛生設備全般の国際的な大手製造業者である KWC Group は、SAP のパブリッククラウド型エンタープライズリソースプランニング (ERP) ソリューションである SAP S/4HANA® Cloud, public edition を導入して、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを大きく前進させました。同社でチーフイノベーションオフィサー (CIO) を務めるメノ・フリートストラ (Meno Vlietstra) 氏主導のもと、このプロジェクトは成功し、KWC 社に強固な業務基盤が築かれただけでなく、将来のイノベーションと事業強化への道も切り開かれました。
2021 年夏、未公開株式投資に伴い、KWC 社は親会社から独立し、SAP ソリューションをベースとした業務改革に着手しました。独立により、SAP のクラウドソリューションを早急に導入して、独立した機能を確保しなくてはならなかったのです。そこで同社は、ERP だけではなく顧客関係管理 (CRM) についても SAP ソリューションを採用し、SAP® SuccessFactors® ソリューション、SAP® Analytics Cloud、SAP® Concur® ソリューションといった SAP ソリューションを活用して新会社の基盤を築くことにしました。
この導入プロジェクトの緊急性を強調し、フリートストラ氏は次のように当時を振り返ります。
「失敗は許されませんでした。何としてでも 1 年以内に導入を完了しなくてはならなかったのです。つまり、2022 年 11 月に親企業のレガシーアプリケーションをすべて完全に停止するまでに、これらの SAP 製品を導入できていなかったら、当社は立ち行かなくなっていたことでしょう」
驚くべきことに、クラウド環境への移行は、2021 年 12 月から、旧システムを完全に停止する 2022 年 11 月までの 1 年弱という厳しいスケジュールで達成されました。
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シンプルなテクノロジー環境で業務改善を行っている KWC 社の事例
課題を克服し、メリットを獲得
統合が無事に完了し、KWC 社は大きなメリットを得ましたが、SAP S/4HANA Cloud, public edition の導入にはそれなりの課題を伴いました。導入にあたり、世界中のビジネスプロセスオーナーと主要ユーザーの協力が広範囲にわたって求められました。また、導入ペースが上がり、初期のユーザー定着率と文書化の完了率に影響が出たため、こうしたエリアでは継続的な改善が必要でした。
そうした課題はあったものの、導入によるメリットは大きなものでした。KWC 社は、プロセス実行の一貫性をグローバルで確保し、1 年足らずで世界中の業務を標準化し、ばらばらだった 9 つ の SAP システムを 1 つに統合してコストを大幅に削減することができました。また、モバイル倉庫管理機能、外部ロジスティクスとの統合機能、顧客との設計コラボレーション機能、追加ソフトウェアとの主要アプリケーション統合機能など、KWC 社の業務に不可欠な機能が SAP の開発者から提供され、強化された機能とイノベーションを利用できるようにもなりました。
こうしたメリットについて、フリートストラ氏は次のように話してくれました。「当社は現在、プロセスの実行において、グローバルで一貫性を確保しています。全体的に機能性は以前より向上していると言えます」さらに導入によって、調達・購買プロセスを完全に可視化し、サステナビリティの取り組みの改善に着手できるようになりました。今後は、サプライチェーンを完全に可視化し、製品の原産地とエネルギー使用量を正確に監視できるようにしていく必要があります。
クラウドネイティブ ERP の真価が発揮される時代です
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将来を見据えて：イノベーションと統合
強固な基盤が築かれ、将来のイノベーションと事業成長に向けて、十分な体制が整いました。KWC 社は今後、SAP S/4HANA Cloud, public edition を活用し、M&A や事業売却を促進するとともに、サプライチェーンの改善やカスタマーエクスペリエンスの向上を推進していく予定です。
フリートストラ氏は今後の展望を次のように語っています。「当社の次の目標は、サプライチェーンを改革し、カスタマーエクスペリエンスを向上させ、パートナーシップの可能性を探ることです」同氏はまた、CRM、人事、製品データ管理、デジタルマーケティング、設計プロセスにおける顧客とのコラボレーションなど、ほかのシステムも最初から統合しておくことの重要性を強調し、自社のグローバル拠点間でシームレスにつながれる仕組み作りの必要性についても触れてから、こう続けています。「近い将来、企業間プロセスや販売・業務計画のさらなる改善を予定しています。今後数年間は、CRM セールスとデジタルマーケティングをターゲットに改革を進めていきます」
成功への道：パブリッククラウドの導入
KWC 社におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みの成功は、SAP S/4HANA Cloud, public edition のようなパブリッククラウドソリューションを採用するメリットを証明しています。フリートストラ氏は、パブリッククラウドの主なメリットとして、十分な機能、社内外での統合の可能性、導入スピードなどを挙げ、同じ CIO に向けて、オンプレミスソリューションではなくパブリッククラウドを選択することに二の足を踏まないようアドバイスしています。パブリッククラウドを活用することで、企業はビジネスプロセスの標準化とグローバル化に集中でき、テクノロジー面やインフラ面については既存のプロバイダーに任せることができます。
KWC 社がグローバルオペレーションの改革、統一、標準化を進めていくにあたり、SAP S/4HANA Cloud, public edition は、持続可能な成功を実現する上で極めて重要な役割を果たします。
以上