今日のダイナミックな世界において、会社の労働力を正社員だけに限定するわけにはいきません。ここ近年の大きな変化に、外部人材採用が増加し、フルタイムやパートタイムの従業員から派遣社員や業務委託の利用まで、これら全ての人材を積極的に管理し、さらには手作業による業務をできるだけ減らす必要性が高まっています。この対応はOklahoma Gas & Electric (OG&E) 社や Brightspeed 社を含む多くの企業にとって、今や必須となっています。
トータルワークフォース管理戦略によって、自社で活用するすべての人材を視野に入れ、敏捷性、生産性、収益効果を高めることができます。
OG&E 社は独自の方法で派遣社員や個人請負人材を管理しています。121 年という長きにわたる歴史にもかかわらず、雇用情勢の変化に戸惑うことなく正面から対応しています。同社は 25 年以上 SAP ソリューションを活用し、さらに SAP Fieldglass® ソリューションを 10 年以上利用しています。外部人材管理の包括的ベンダーマネジメントポートフォリオである SAP Fieldglass ソリューションは、SAP SuccessFactors® の HR ソリューションと併用することで、正社員と派遣社員・業務委託スタッフを含む理想的な統合人材管理を実現できます。
難しいのは、どのポジションに外部人材を活用するか決定することです。OG&E 社は長年かけてそれを磨いてきました。この決定は、必要とされるスキルと、その緊急性及び期間に基づいて行われます。同社はこの柔軟なアプローチにより、最近の SAP SuccessFactors® Human Experience Management (HXM) Suite 導入プロジェクトなど、さまざまなプロジェクトにおいて多様なプロフィールを持つ人材を配備することに成功しています。
この業務におけるプロセスオーナーは、人事部、事業部、調達部が共同で担っており、これはさまざまな組織で見られる傾向を反映しています。2022 年に実施された調査では、人事部が外部人材の管理に費やす時間は全体の約 51% であることが明らかになりました*。これは、派遣社員や登録社員の重要性が高まり、人事部がこのような外部人材を効果的に活用する必要性が高まっていることの表れだと言えます。
しかし、このプロセスは複雑で人事部と調達部が協力する必要があります。例えばレートカード (単価コントロール) やその他の調達固有プロセスについて、両部門の強力な連携が必要です。
以前 OG&E 社では、ワークフォース全体を把握できていなかったため、人事と財務に関する日常的な意思決定が困難なものになっていました。SAP Fieldglass ソリューションによる外部人材の管理は別の会社に任せていましたが、社内業務へと移管することで可視性が高まりました。
人事部は、あらゆるタイプの人材を計画、獲得、管理する必要があります。
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これにより、OG&E 社は、より多くの情報に基づいた意思決定を行うことができるようになりました。例えば、あるポジションについて、複数のサプライヤーから 10 人の候補者が提示された際に、そのうち 2 人の料金が非常に高かったので、他の 8 人の情報を確認してから、その高値について交渉を行うことができました。その結果、1 つのサプライヤーで料金の引き下げに成功しました。このような交渉は、以前は可視化されていなかったため不可能でしたが、今は外部人材採用プロセスに不可欠な要素となっています。
OG&E 社とは対照的に創業間もない企業である Brightspeed 社も、4,200 人の正社員とほぼ同数の外部人材からなるダイナミックなワークフォースを管理しています。そのミッションは、アメリカ南部と中西部に高速ファイバーを敷設することです。これと並行して、同社は最近 Lumen 社から一部事業の売却を受け、数百のアプリケーションを継承し、外部人材を抱えることになりました。
しかし、同社のワークフォースのニーズは流動的です。そこで Brightspeed 社は、社内ニーズに応じて外部人材を増減させることで、ファイバー敷設の現場作業員から、新しいアプリケーションを開発するITスペシャリストまで、柔軟に対応しています。
Brightspeed 社は、売却を受けた後の業務の効率化に SAP アプリケーションスイートを採用しました。Lumen 社が SAP SuccessFactors ソリューションと SAP Fieldglass ソリューションを利用していたため、Brightspeed 社はこれらのソリューションを引き続き使用することにし、シームレスな移行を実施しました。現在同社が使用しているスイートは、SAP SuccessFactors ソリューション、SAP Fieldglass ソリューション、SAP S/4HANA® です。
SAP Fieldglass ポートフォリオは派遣社員の管理に使用されています。ここでは、Brightspeed 社のマネージドサービスプロバイダー (MSP) が重要な役割を果たしています。MSPは採用担当者と連絡を取り合い、候補者の選定を行い、最終的に SAP Fieldglass ソリューション経由で派遣社員を提供します。派遣社員はその後、コンプライアンスと技術的手順についてトレーニングを受け、すべての情報は SAP SuccessFactors® Learning に連携されます。SAP S/4HANA においては、コストセンタープロジェクトアクティビティやその他の要素がFieldglassの勤怠・実績管理機能に渡され、また生の時間データが SAP S/4HANA にインポートされることで、支払期間ごとに何百万ドルもの支出をプロジェクトコストとして認識します。
ただし、この道のりは単調ではありませんでした。若い会社である Brightspeed 社が、わずか 10 カ月でこれらのシステムを立ち上げ、稼働させるには膨大な業務をこなす必要がありました。この最初のハードルはうまく乗り越えましたが、導入期間が短かったため、稼働後の準備が十分でなかったことにすぐに気づきました。そのため、従業員のトレーニングやシステムエラーの解決に奔走し、大変な数カ月を過ごすことになりましたが、その後、なんとかシステムは安定しました。
これらの事例が示すように、外部人材の役割は進化しており、組織の成功に不可欠なものになっています。彼らはもはや単なる現場労働者ではなく、特定のスキルセットを得るために頼りにされる存在なのです。そして、Brightspeed 社や OG&E 社のような企業は、俊敏性を維持し、ビジネスニーズに適応するために、正社員と同じように外部人材も管理しています。
トータルワークフォース管理戦略が適切に実施されれば、多様性に満ちたワークフォースの潜在能力を最大限に引き出し、企業の俊敏性を高めることができます。SAP SuccessFactors ソリューションと SAP Fieldglass ソリューションを連携させることで、状況への適応が容易なダイナミックで柔軟なワークフォースの創出と管理が可能になります。OG&E 社と Brightspeed 社によるワークフォース管理は、その戦略的計画と技術ツールの効果的活用の重要性を示してくれる良い事例だと言えるでしょう。
アンドレア・ドムハルト (Andrea Domhardt) は、SAP SuccessFactors 担当プロダクトマーケティングのメンバーです。
*「Workforce Solutions Buyer Survey 2022, Americas」Staffing Industry Analysts、2022 年。