(本記事は、7月30日本社で掲載されたものです)
「BLS社 は、非常に多様性に富んだ運輸会社です。中核事業である鉄道輸送では、通勤用、レジャー用の路線を運営し、全長 420 キロの鉄道網を管理しています。さらに、バスの運行、レンタカー、輸送サービス、貨物輸送も傘下に組み込んでいます」と、BLS 社 の HR &トランスフォーメーション担当責任者兼エグゼクティブボードメンバーのホルスト・ジョナー (Horst Johner) 氏は述べています。
BLS 社では長年にわたり、数多くの SAP 製品がオンプレミスソリューションとして使用されてきました。人事部では、コアプロセスの標準化に努めていますが、その実行状況はまだ統一されたものになっていません。
「2019 年に BLS 社に入社した時、以前の職場と比べて IT レベルが全く違うことに気づきました。スプレッドシートを使用しているプロセスもありました」とジョナー氏は説明します。
人事およびトランスフォーメーション担当責任者としてジョナー氏は、BLS社 を魅力的な雇用主にしたいと考えています。「新入社員は、企業に、ある程度のデジタル化と最先端のアプリケーションを使えることを求めています。もちろん、標準プロセスのデジタル化は大きなコストの問題でもあります。とはいえ、主要な人事プロセスの標準化とデジタル化は、私たちにとって効率を高めるための重要な目標でした」
SAP Standard Content Activation Service (SAP 標準コンテンツ有効化サービス)によるデジタルトランスフォーメーション
こうした問題に対処するため、BLS社 は 2020 年初頭に SAP SuccessFactors HCM の導入を決定しました。
ジョナー氏は次のように語っています。「私たちは SAP 標準コンテンツ有効化サービス を採用しました。当社の要件は、少なくとも 80% のプロセスを標準ソリューションとして取り入れることでした。SAP は迅速な本稼動をサポートするフレームワークを提供してくれ、ベストプラクティスを提案し、さらに私たちのニーズに合わせて設定を微調整してくれました」
BLS 社のマネジメントサービス担当責任者であるステファン・フューラー (Stefan Fuhrer) 氏も、この導入プロセスに満足しています。「最初のモジュールとして SAP SuccessFactors Employee Central を導入したことが大きな成果でした。これにより、すべてのマスターデータをオンプレミスの SAP ERP Human Capital Management ソリューションから SAP SuccessFactors ソリューションに移行できたので、他のすべてのモジュールとパッケージの実装作業と統合がシンプルになりました。さらに SAP SuccessFactors Employee Central の導入により、人事データの単一のデータソースが構築され、組織全体で人事プロセスを管理できるようになりました」
SAP Switzerland AGのカスタマーサクセスパートナーであるローランド・クリステン (Roland Christen) は、次のように述べています。「ほとんどのお客様が、モジュールを 1 つずつ発注し導入するという従来のアプローチに慣れていますが、SAP 標準コンテンツ有効化サービスは、個々のモジュールではなく、プロセス全体を導入するという異なるアプローチを提供します。このアプローチであれば、お客様は即座に新しい付加価値 価値を実感することができます」
BLS社 は、SAP SuccessFactors ソリューションの導入と同時に、このようなプロセス内のタスクを担当する役割とチームも定義しました。ジョナー氏は「可能な限り、社内の構造をプロセスに合わせるようにしました」と述べています。
SAP SuccessFactors HCM のプロセス指向の実装
BLS社 は現在、SAP SuccessFactors HCM の全モジュールを使用しています。「現在では、ベストプラクティスに基づいて構成されたシステムで、求人応募から退職に至るまで、従業員の人事上のキャリア全体を技術的にマッピングできるようになりました。SAP SuccessFactors ソリューションの導入後、これを基盤として他のサブシステムと接続することで、徐々に管理工数を削減できています」と、ジョナー氏は説明します。
SAP SuccessFactors Document Management Core by OpenText ソリューションとの統合もうまくいきました。他のソリューションと比較して SAP SuccessFactors Document Management Core の大きなメリットは、SAP SuccessFactors の各ソリューションとの深い統合にあるとジョナー氏は考えています。「BLS 社 にとって、コンプライアンス上、個々の文書のライフサイクルに従って、必要に応じて文書を削除できるソリューションも重要でした」
現在 BLS社 では、SAP SuccessFactors Document Management Core が従業員フォルダとして使用され、この点はより重要なポイントになっています。
ジョナー氏は、次のようにソリューションによる透明性の高さを非常に評価しています。「各従業員は、自身の従業員ファイルにセルフサービス式でアクセスできます。役割ベースの権限で管理され、マネージャーや人事部員も定義済み従業員の文書にアクセスできるようになっています。これらの文書はワークフローを通じてアップロードできます。さらに、契約書は自動的に作成され、署名後、従業員フォルダに保存されます」
現在、オンプレミスにあるのは、給与計算、勤怠管理、共有サービスのみです。次のステップとしては、例えば列車スタッフの配備計画ツールを、勤怠管理や給与計算と統合することが計画されています。さらに、無給休暇の申請など、めったに使用されない既存のサブプロセスも、インターフェースを通じて統合される予定です。
このプロジェクトは、デジタル化によってより効率的なプロセスでリソースを管理することに重点を置く BLS 社の全体戦略に沿ったものです。「SAP SuccessFactors ソリューションの導入により、会社の戦略に大きく貢献できたと思います」とジョナー氏と語ります。
内部顧客に対するステークホルダー・マネジメントは、当初からかなり重視されていました。「私たちは、全社的に見たプロジェクト状況を継続的に報告し、インサイトを提供しました。重要な内部顧客グループは、開始時からプロジェクト委員会に参加し、以降の変更についても、ともに議論しともに進めることができるようにしました」と、ジョナー氏は続けます。
関連するユーザーグループを対象にしたトレーニングも大きな役割を果たしました。結果、システムは好意的に受け入れられました。「人事部は当初、プロセスや責任が変わったため、このシステムを懐疑的に見ていました。しかし、今では、システム全体で一貫したデータを得られるようになり、メディア破損に伴うリスクがなくなるなどのメリットが高く評価されています。
また、当社社員がプロセスをエンド・ツー・エンドで考えるようになっている、ということにも気づきました」とジョナー氏は述べています。
スイスで最も魅力的な雇用主を毎年発表しているスイスの経済紙 Handelszeitung は、BLS 社を 2024 年のスイス鉄道業界第 1 位にランク付けしました。総合ランキングでも、BLS 社 は 250 社中 11 位にランクされています。
ジョナー氏はこのランキングについて次のように述べています。「これは、私たちの人事活動と近年のモダナイゼーションへの取り組みが、明らかに正しい方向に進んでいることを裏付けています」