オーストリアのウィーンで開催された SAP Spend Connect Live の基調講演に登壇した SAP のムハンマド・アラム (Muhammad Alam) は、まるで、長い間胸に秘めていた秘密を明かすかのようでした。そして、ご出席いただいた SAP のお客様、パートナー様、業界の専門家たちも、その秘密が明かされるのを心待ちにされていたようです。
SAP® Intelligent Spend and Business Network 担当プレジデント兼チーフ・プロダクト・オフィサーであるアラムは、彼が率いるチームとともに、この 1 年間、SAP のお客様と対話する中で、それぞれの企業が抱える支出管理に関わる課題への理解を深め、それらを解決するためのソリューションの構想を進めてきました。さらにその中で、世間をにぎわしている AI をめぐるさまざまな話題を注意深く評価し、AI テクノロジーに対する誇大宣伝と本当にできることを切り分けてきました。
AI で単調な業務を排除し、戦略性を高める
その方法とは？
アラムがここで発表したイノベーションを実現するために、支出管理に特化した開発者チームも動員されています。「私たちは業界の誰よりも支出管理分野にリソースを割いている、だからこそ業界の誰よりも支出管理分野のイノベーションを実現し、ご提供できるのです」アラムはこう聴衆に語りかけました。
企業がその緊急かつ重要な支出関連の課題（業務レベルのものであれ、企業の存続に関わるものであれ）を解決できるよう支援するために、SAP がその「巨大なエンジニアパワー」とビジネスへの最高レベルの深いコミットメントをかけて専心していることを、アラムは講演で示しました。企業が抱える支出に関する課題には、次のようなものがあります。
- サプライチェーンの可視性を向上させ、刻々と変化する貿易情勢に対応するための対策を講じる。
- 社会的・環境的に責任ある方法で事業を展開する。
- 適材適所に人材を確保する。
「もちろん、このすべてに共通するテーマは『支出』です。支出こそが、事業の成果に大きく影響するビジネスの最大のテコになります」とアラムは語りました。
生成 AI テクノロジーを活用した支出管理
SAP Spend Connect Live では、今後も生成 AI についての話題はさらに多くなり、生成 AI が緊急かつ重要な課題に取り組む企業をどのように支援できるかについて、より詳しく語られるようになるでしょう。アラムは基調講演で、「現在私たちは AI をめぐる大きな変化の中にいる」と語りました。また、テクノロジーだけでなく、ビジネスプロセスや機能における戦略的変革を推進するために AI を採用しようとするお客様の意欲にも変化が見られると話しました。
そして、アラムは、AI が果たす約束、AI を使用する目的について、次のように述べています。「データを活用することで洞察を深め、意思決定を下す……それが AI が果たす約束であり、AI のパワーを十分に発揮できる領域です。AI はもはや、存在するだけで満足するテクノロジーではなくなっています。早期に、そしていかにスピーディにこのテクノロジーを導入し、効果を出すかの問題になっているのです」
SAP が果たそうとしているミッションは、そのインテリジェントな支出管理ソリューションによって、企業が生成 AI を利用してデータを十二分に活用し、精度の高いインサイトを獲得し、的確な意思決定を行えるように支援することです。
SAP Spend Connect Live の基調講演でアラムが発表した 2 つの重要なプロダクトイノベーションは、SAP® Spend Control Tower と、支出管理ポートフォリオ全体に展開される 12 の新しい生成 AI 活用シナリオです。
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SAP Spend Control Tower の紹介
「昨年、数多くのお客様とお話させていただく中で一番多く求められていたのは、部門を問わずあらゆる支出をチェックし、分析する能力でした。そして、現在では、『支出』には、財務的な支出だけでなく、全カテゴリーにわたる二酸化炭素排出量の影響という意味合いも含まれるようになりました」
SAP Spend Control Tower は、高度な AI 機能とともに、SAP のクラウド ERP ソリューション、SAP® Ariba® ソリューション、SAP Fieldglass® ソリューション、SAP® Concur® ソリューション、および SAP® Business Network において、すべての支出を横断的に把握する能力を提供することで、コスト削減の機会やプロセス改善ポイントを発見できるようにします。この機能は 2024 年第 1 四半期にご提供予定です。さらにアラムは、SAP Spend Control Tower の AI が、スコープ 3 二酸化炭素排出量の報告にも力を発揮してくれるだろうと語っています。
支出データはすべて、SAP の次世代型データレイクであるサプライヤーデータプラットフォームの一部として、統一されたデータモデルで合理化されます。3 年かけて構築されたこの仕組みは、SAP の全支出分析のバックボーンとなります。これは、SAP Spend Control Tower を支えるだけでなく、SAP のアプリケーションに支出関連のインサイトを組み込み、生成 AI イノベーションを生み出す原動力になります。
支出管理のための 12 の生成 AI シナリオ
従業員は毎日、やらなければならないからという理由で、単調な業務にかなりの時間を費やしていると、アラムは指摘します。このような仕事は、より戦略的で価値の高い仕事から時間と集中力を奪います。
アラムは次のように述べています。「生成 AI は、従業員の日常から単調な業務を排除し、戦略的業務への移行を促します。今こそ、長年手に入らなかった類の生産性向上を実現するときが来たと言えるでしょう」
アラムは、支出管理全体におけるプロセスの効率、品質、洞察を高めるために設計された 12 の生成 AI シナリオを発表しました。以下、これらのシナリオがどのような働きをするかについて、その概要を紹介します。
- SAP Ariba ソリューション：サプライヤーの持続可能性をより深く理解して、適切な意思決定へと導きます。
- SAP Fieldglass ソリューション：より質の高い包括的な作業範囲記述書 (SOW) や職務記述書を、時間単位ではなく秒単位で作成できるようにします。
- SAP Concur ソリューション：ユーザー自身が出張にかかるコストを見積もり、企業の出張・経費ポリシーを適切に理解できるようにします。
その他新しい生成 AI シナリオの詳細については、こちらをご覧ください。
マイク・コナーズ (Mike Conners) は、SAP Spend Management Communications チームのコミュニケーションスペシャリストです。
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