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三井情報、SAP Preferred Successを活用してクラウドの徹底活用と投資対効果の最大化へ

ビジネスや経営の変化にIT面から迅速に対応するため、柔軟性の高いクラウドソリューションを採用する企業が増えています。三井物産グループの三井情報株式会社では、SAP S/4HANA Cloud Public Editionの導入にあたり、クラウド製品の活用を支援する拡張サポートプログラムSAP Preferred Successを契約し、機能の活用や改善のサポートを受けて、より大きな投資効果の獲得を目指しています。

 

クラウドファースト方針のもとSAP S/4HANA Cloudを導入

三井情報は、2018年に自社のIT戦略「MKI ITグランドデザイン」において、ICT企業として社内システムに先端技術を先行導入する方針を打ち出しました。日本政府が情報システムに「クラウド・バイ・デフォルト原則」を掲げた時期でもあり、同社においてもクラウドファーストの方針を固めました。

 

同社がこれまで利用していたSAP ERP 6.0の標準保守期限(2027年末)、SAP Business Warehouse(SAP BW)7.5のサポート終了(2020年末)が迫ってきたことも後押しとなり、クラウドソリューションの導入を検討しました。

 

そしてSAP ERP 6.0の後継としてSaaS型のSAP S/4HANA Cloudを選定し、業務を標準機能に合わせる「Fit to Standard」の方針を打ち出しました。また、データ活用に向けてクラウド型のSAP Analytics Cloudも採用し、両システムの導入を2019年6月から2020年7月にかけて実施。経営企画統括本部 デジタル戦略推進部 部長の新濱俊典氏は「当社はSAPパートナーでもあるため、自社の経験をお客様へ還元するためにも、最新のクラウドサービスを導入してオンプレミスのSAP S/4HANAやこれまでのSAP ERPとの違いを理解し、知見を蓄積することにしました」と語ります。

 

クラウド活用に向けてSAP Preferred Successを採用

三井情報では、SAP S/4HANA Cloudの採用と同時に、SAPがクラウドサービスの導入・運用・適用フェーズまでのライフサイクルを支援するSAP Preferred Successを契約。導入時は、既存の他システムとのAPI連携において、当時のSAP S/4HANA Cloudには搭載されていなかった機能などの技術支援を受けました。

 

SAP Preferred Successは、SAPの基本的なサポートサービスであるSAP Enterprise Supportを拡張するサービスです。クラウドへの投資効果を高めるため、導入から運用フェーズにおいて最新の技術情報の提供や、SAPのエキスパートによる技術QA対応を実施します。また、お客様の利用スコープに基づく情報提供、追加される新機能と時期についての案内、障害対応への追加SLAと重要問題への優先対応、初期応答時間と目標解決時間の短縮も実施します。さらに、管理者およびユーザー向けのオンライントレーニングを提供し、お客様のスキル向上にも貢献します。

「年に2回新機能が追加されていくSAP S/4HANA Cloudを使いこなしていくには、SAPのクラウド担当者と密にコミュニケーションが取れるSAP Preferred Successの活用は必須と考えました」(新濱氏)

SAP Preferred Successでは、クラウド専門担当者のCustomer Success Partner(CSP)がサポート窓口として対応し、SAPの製品、サービス、ツール等を活用してクラウドへのトランスフォーメーションを支援します。CSPは必要に応じて、クラウドソリューションの専門的な知識と経験を持つSAPエキスパートのリソースを調整し、お客様のクラウドジャーニーを成功に導くためのサービスを提供します。

 

エンタープライズ領域とオペレーション領域の改善施策を実施

SAP S/4HANA Cloudの稼働後、三井情報とCSPの定期的なコミュニケーションの中で、エンタープライズとオペレーションの領域で新たな課題が見えてきました。

 

エンタープライズ領域での課題は、生産モジュールの活用、管理会計の強化、BIの深掘りの3点です。まず生産モジュールの活用については、M&Aで合併した企業のシステムを統合する必要がありました。初期導入の際は、生産業務は範囲外でしたが、SAP S/4HANA Cloudのシナリオをベースに生産モジュールを設定することで、利用範囲の拡張を実現しました。管理会計の強化では、経営価値の創出に向けたデータ活用の高度化が焦点となりました。BIの深掘りについてはSAP Analytics Cloudで設計したレポートのパフォーマンスが低かったため、SAPのテクニカルチームの支援を受けて改善を図りました。

 

「SAP Analytics Cloudはもっぱら経理部門のレポート作成に使われ、現場部門は経理部門にデータ抽出を依頼し、それぞれがExcelで加工していました。そこで、SAPのテクニカルチームから支援を受けて利用頻度の高いレポートからパフォーマンスの改善を進め、徐々に現場部門での活用頻度を上げることができました」(新濱氏)

 

オペレーション領域では、UIとアプリの使い方の2つが課題に挙がりました。現場のユーザーからはSAP S/4HANA Cloudの活用に不安があるという声が聞こえていたため、新濱氏はCSPと相談して、現場のユーザーにヒアリングを実施。その回答結果をもとにユーザーとSAPの担当者がWeb会議を行い、使い方に対するアドバイスを受けました。

 

「まずは、調達領域の担当者を対象に実施しました。SAPのクラウド担当者とユーザーが直接会話できたことはメリットが大きく、自分の使い方に自信が持てなかったユーザーから『疑問が解消できた』、『使い方に関する不安がなくなった』といった声が上がりました。今後は、他の部門でも同様の取り組みを行っていきます」(新濱氏)

 

SAPの担当者に直接相談できる安心感

SAP Preferred Successの活用により、エンタープライズ領域の3つの課題については、プロジェクト企画が必要なことが明確化され、今後の方向性が定まりました。管理会計やBI活用の高度化によって売上向上や失注率低減など、ビジネスや経営への貢献が期待されています。オペレーション領域の課題についても、SAP S/4HANA Cloudの標準機能に対する現場の理解が進んだことでユーザーの満足度が高まっています。

 

SAP Preferred Successについて新濱氏は、SAP S/4HANA Cloudの本稼働後もCSPやSAPのテクニカルエキスパートから、迅速かつ適切なサポートが受けられることを評価。クラウドを活用するうえでは、標準的なサポートだけでは得られないメリットがあるといいます。

「SAPの担当者と近い距離で会話ができることは、非常に安心感があります。SAPがどういった機能拡張を進めていくかといった情報を、定例ミーティングでいち早く共有してもらえるため、先を見通しながら今後の対応を検討できます」(新濱氏)

 

機能改善とバージョンアップ対応への期待

今後は引き続きCSPと連携しながら、機能強化や改善を継続していく方針です。モノの販売や保守サービス、プロジェクト(役務)をまとめて販売するビジネスモデルをSAP S/4HANA Cloudでカバーし、non SAPデータも含めた統合データマートを作成するためにクラウド型データ統合サービスSAP Datasphereの活用なども視野に入れているといいます。

 

「SAP S/4HANA Cloudの新しい機能は模索しながら使っています。年2回のバージョンアップにも追随していくことが理想ですが、現在は動作検証だけに留まっているため、よりライトな領域で新たな機能を試していきたいと思っています。スピード感を持って有効な機能を実装しながら当社の業務改善を継続し、SAPパートナーとしてお客様にSAP S/4HANA Cloudの価値を還元していきたいと考えています」(新濱氏)

 

一方、三井情報は「データ活用の高度化」に向けて、SAP Analytics Cloudを含む、SAP Business Technology PlatformにおいてもSAP Preferred Successの契約を追加で締結しました。今後はSAP S/4HANA CloudとSAP Analytics Cloudの双方にサービスを活用していく考えです。

 

機能を定期的にアップデートするクラウドソリューションは、キャッチアップ対応が必要なことも確かです。専用サポートのSAP Preferred Successを活用することで、クラウドのメリットを余すことなく享受でき、投資価値を高めることが可能になりますので、ぜひご検討ください。

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