はじめに
本記事では、デジタルトレジャリーの実現においての進め方、アプローチに関する内容です。本記事は「SAP S/4HANAとFin Tech融合によるデジタルトレジャリーへの変革 全体概要編」の続編となっておりますので、全体像を把握頂いた上でお読みいただけるとより理解が深まるかと思います。また、デジタルトレジャリーへの変革シリーズとして、全体概要編の他にも、銀行管理編、資金繰り管理編、財務リスク管理編前編、財務リスク管理編後編(為替リスク管理)、次世代ペイメントファクトリー編、最新クラウド型トレジャリーソリューション編も併せてご参照ください。
グローバル財務資金プラットフォーム全体像
最新のSAP S/4HANAを活用した財務資金管理ソリューションは、単にERPの中だけでの財務資金管理業務自動化にとどまらず、360T等のトレーディングプラットフォーム、SWIFT連携による銀行接続、FinTech対応に注力している銀行を中心とした直接接続など、外部サービスプロバイダーとの連携・接続、AIを含めて提供され、FinTechを組み込みしたデジタルトレジャリープラットフォームとして提供されております。

グローバル財務資金プラットフォームの進め方
グローバル財務資金プラットフォームを検討する際、どのように進めるべきか悩む企業は少なくありません。本記事では、SAP S/4HANAを活用した効果的な進め方を説明します。
■ゴール設定の重要性
財務資金プラットフォームをご検討いただく場合、短期的な視点だけではなく、中長期の視点をもってアプローチ方法を検討する必要があります。
例えば、短期的な成果を得るために、中長期の視点を持たないで、資金ポジションだけの可視化をゴールとしてしまう場合には、次フェーズ以降で、流動性予測、為替リスク管理、グループファイナンスといった、グローバル財務資金プラットフォームを利用することで得られるはずの大きな効果を達成することが困難になってしまうケースがあります。
理由としては、そもそも流動性予測や為替リスクといった情報は、発生源の情報をリアルタイムに収集することで初めて実現しうるものだからです。
グローバルで展開される企業がバラバラの仕組みを利用し、それぞれがバラバラの業務プロセスを採用されている場合には、こういった発生源の情報自体を収集することも困難になりますし、たとえ収集できたとしても、データやマスタ、タイミング自体もバラバラの粒度では流動性予測や為替リスクといった業務で利用することは困難になってしまいます。したがって、短期的な成果を得つつ、中長期的な成果を享受するためのゴール設定が重要です。
■ロードマップ作成のポイント
グローバル財務資金プラットフォームをご検討いただく際に重要なことは、ゴールの設定、ロードマップ作成、効果の試算が重要になります。
ロードマップ自体は資金の流れ、業務オペレーションだけではなく、システム的なアーキテクチャの展開状況を、サプライチェーン、会計等他の業務領域の進捗や整合性も考慮して描く必要があります。
一般的に、財務資金プラットフォームのロードマップに関しては業種に関係なく、標準化された進め方になっています。
ゴールの設定、ロードマップ作成、効果の試算による優先順位付けを行うことで、資金ポジションの可視化だけではなく、流動性予測や為替リスク、グループファイナンスを行うためのグローバル財務資金プラットフォームを構築することが可能となります。但し、グローバル財務資金プラットフォーム構築の上での重要なポイントは、資金の流れ自体はサプライチェーン、会計と密接に連携されているため、財務資金部門に閉じた形では進めることは難しく、経営課題として、全社プロジェクトのアジェンダとして推進することが非常に重要になります。
以下でグローバル財務資金プラットフォームのロードマップ例をご紹介させていただきます。
■グローバル財務資金プラットフォーム ロードマップ作成例
グループ経営管理レベルの向上による資金管理レベルの高度化

こちらは、SAP S/4HANAを利用した場合のロードマップ例になっております。
縦軸にCash Managementの高度化、横軸にグループ経営管理の高度化となっております。Cash Managementの高度化を行うということは、グループ経営管理の高度化を行うということに等しいことになります。つまりCash Management自体の高度化は、それだけでは実現することはできません。
Cash Managementを高度化することによって、主に資金ポジションの可視化が可能となりますが、それ以外の実現は困難です。
例えば、為替リスク管理、グループファイナンス、支払代行/ネッティングといった導入効果が比較的高く、リスク管理の観点でも重要な施策を行うことが困難になります。したがって、グループ財務資金管理のロードマップを検討する際にも、グループ経営課題のアジェンダとして検討、推進する必要があります。
SAPの財務資金プラットフォームは、AIや銀行接続、デジタル通貨など、最新のテクノロジーを取り入れ、日々進化しており、こういった最新テクノロジーを活用するためにも、ロードマップ作成は、一回限りの取り組みではなく、随時アップデートしていくことで、最新テクノロジーを活用したグローバル財務資金プラットフォームの構築、グローバル財務資金レベルの向上、グローバル経営管理レベルの向上を図っていくことができると考えております。



